天然石とは
天然石が人気の理由
1つ1つ違った個性があり、綺麗に美しく輝く天然石。
ブレスレットやネックレスにもなっている天然石が人気になった理由はどこにあるのでしょうか。
天然石の歴史を遡ると、天然石が誕生して使われはじめたのは、世界では約5000年前の古代メソポタミア文明の時代、日本では約7000年前の縄文時代といわれています。
その美しい見た目から、古代エジプト文明のファラオの王冠など、装飾品に使用されてきました。
また、イギリスの人類学者エドワード・バーネット・タイラーの「原始文化」という著作に記された、アニミズム(人間以外のものにも魂が宿っている)という考え方より「天然石には魂が宿り、特別な力がある」と考えられていたため、魔除けや護符、埋葬品、儀式などでも使用されたり、遺跡からも発掘され、古代から神話やエピソードも多く残されています。
このように天然石の美しい見た目や、原石には意味を持つとされたことから、古代より多くの人を魅了し、貴重なものとして人気だったことが分かります。
天然石がアクセサリーとして広まったきっかけ
今でこそ現代の私たちも美しい石を見る機会がありますが、天然石がネックレスやブレスレットなどのアクセサリーとして広まるようになったのはいつからでしょうか。
その昔、古代ヨーロッパでは、現在のような原石を加工する技術はなく、ジュエリー職人が一つ一つ手作りで天然石の装飾品を作っていました。
約1500年前の中世ヨーロッパになると、王様たちが天然石からなる宝石を愛し、王冠にもふんだんに宝石が使われるようになってきます。
当時、天然石からなる宝石は、選ばれた人の特権で権力の象徴でもあったため、王や貴族など、位の高い人物が愛用していました。
思い出すと、ヨーロッパの大規模な文化活動ルネサンスの絵画に描かれた女性たちも美しい天然石のネックレスを身につけていた印象があります。
このように、中世ヨーロッパまでは、天然石はごく一部の富裕階級だけのものとされてきました。
では、いつから身近なブレスレットやネックレスなどのアクセサリーとして使用されるようになったのでしょうか。
それは、近代になってからの歴史にありました。
近代になり、1800年頃の産業革命で中産階級の経済力が向上、機械による原石の加工技術も発展していったことにより、富裕階級以外の多くの人たちが天然石をブレスレットなどのアクセサリーとして身に着ける喜びを感じられるようになります。
1980年代後半、天然石にはヒーリング効果があると唱えるアメリカの文化が日本へ渡ってくると、日本では天然石を『パワーストーン』と名付け、販売するようになります。
その影響で知られてなかった種類の天然石も注目を浴び、天然石がパワーストーンとしても広まるようになりました。
こういった歴史からフォーマルなシーンや日常で使えるブレスレットやネックレスなどの天然石アクセサリーは、現代の私たちでも身近に楽しめるようになったんですね。
古代から歴史上の偉人や貴族が愛していたこと、それにまつわるエピソードがあることを知ると、より一層天然石を手にしたくなりませんか?
今回は天然石をより深く知っていただくために、逸話が残された有名な天然石の中から、4つご紹介いたします。
天然石の歴史とエピソード
古代文明を支えてきた水晶
あらゆる願いを成就させるといわれ、時に美しい装飾品として活用されてきた水晶。
4月の誕生石としても有名な水晶は、古くから「神聖な石」とされてきました。
古代ギリシア時代のイタリア・ナポリでは、海中に沈んでしまったとされている、アトランティス文明の伝説に水晶の逸話があります。
アトランティスには長さ7.5m、太さ30cmという巨大な水晶があり、その巨大水晶はパワーを吸収して蓄え、用途に応じてパワーを出す「発電器」として使われていました。
その発電機はコンピュータシステムとして活躍し、アトランティス文明を支えていくには非常に大切な存在だったといわれています。
水晶は他にも古代文明でさまざまな伝説を残しています。
古代ローマ時代のイタリアでは、透き通る氷のような見た目である水晶は、持ち主にパワーを与えて幸運をもたらす石とされ、インタリオという彫込み細工の装身具として使用されていました。
また、中世ヨーロッパ時代のヨーロッパ諸国では、水晶は地球上を構成する代表的な元素から組成されることから、地球の母体そのもののパワーを秘めていると考えられていました。
そのため、水晶を浸けた甘いハチミツやワインを飲んだり、グリフォンという鷲の羽とライオンの下半身をもった伝説の生き物を彫刻した水晶のお守りを身につけていれば、母乳が豊かに出ると信じられてきたそうです。
水晶の種類は他にも、レインボークリスタル、水入り水晶、ファントムクリスタル、オーロラ系クリスタルなどがあり、紀元前3000年のエジプト文明からファラオの王冠などにも使用されてきました。
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ナポレオンが愛したカーネリアン
鮮やかなレッドが特徴で、古くから世界中の人々の間で使用されてきた石、カーネリアン。
カーネリアンは7月の誕生石でもあります。
ナポレオン時代のフランスでは、カーネリアンはナポレオンが身に着けていた石としても有名です。
ナポレオンの幸運のお守りとされる「ナポレオンの印章」は、その1つをカーネリアンで作っていたといいます。
なぜ、ナポレオンはカーネリアンを選んだのでしょう。
古代ローマ時代、カーネリアンは、中近東で指導者にふさわしい石として知られていました。
古代ローマ時代の宝石の効能に関するアラビア語の文献をまとめた「宝石誌」にも、「カーネリアンを身に付けると雄弁になり、勇敢で恐れを知らなくなる」と書かれています。
ナポレオンは読書家であったため、このような文書にインスピレーションを得て、自らの印章をカーネリアンで作らせたといいます。
特にカーネリアンにアラビア語で聖なる言葉を刻むと、邪悪な企みや嫉妬から身を守るとされたため、ナポレオンも「しもべ、イブラヒムは慈悲深き神に身をゆだねる(イブラヒムという神を信じるしもべが、慈悲深き神に対して、心身を捧げ信仰する)」と神への誓いをアラビア語で刻んだそうです。
当時、カーネリアンは手に入りやすく加工が容易だったため、一般的には印章として広く使用され、「約束を守り、道徳的に行動する」石とされて、公証人が好んで身に付けました。
カーネリアンの仲間は他にも、ブルーカルセドニー、グレーカルセドニー、パープルカルセドニーなどがあり、古代ギリシアや古代ローマでは、イニシャルや紋章が刻まれた印鑑としても使えるリング(シグネットリング)に使用されてきました。
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中国統一の後押しをした翡翠
5月の誕生石として有名で、淡く落ち着いたグリーンカラーが特徴の翡翠。
実は翡翠という名前は、河川や池などの水辺に生息する、青緑の羽を持つカワセミ(翡翠)からきています。
古代中国では、翡翠は玉(ぎょく)と呼ばれ、他の宝石よりも価値の高いものとされてきました。
翡翠がここまで中国で尊重される理由は、約3000年前の殷(いん)王朝時代に書かれた「史記」の物語が元になっています。
その物語というのは、ある日、呂尚(りょしょう)という人物が釣りをしていると、鯉が釣れ、その鯉の腹から「殷の次は周(しゅう)の時代となり、新しい時代を迎える。あなたはその次の王朝の実現に尽力しなければいけない。」と書かれた翡翠の板が出てきます。
その時、一人の若い者が話しかけてきたので、呂尚はその青年に翡翠の板とメッセージのことを伝えました。
するとその若い者は「わが祖父である大公はあなたが現れるのを待ち望んでいました。ぜひお力を貸して頂きたい。」とお願いをしてきます。
実はこの者は、周を治めている文王(ぶんおう)で、この出会いをきっかけに、周に呂尚を軍師として迎え入れることになります。
その後、国に尽力した結果、周は殷王朝を打倒し、中国統一をすることができました。
この物語の言い伝えから、中国皇帝や高貴な人は翡翠を貴重な宝石として崇めるようになったといいます。
また、翡翠は含まれる鉱物によって、硬度が違うものがあり、ジェダイト、ネフライトと違った名前でも呼ばれています。
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マリー・アントワネットが愛したアクアマリン
海と深い関わりを持ち、3月の誕生石でもある天然石、アクアマリン。
アクアマリンという素敵な名前は、約2,000年前の古代ローマのイタリア人が、アクアマリンの透明な海のような色から、ラテン語のアクア(水)とマリン(海)をとって名付けたそうです。
アクアマリンの歴史を遡ると、その歴史は古代ギリシア時代からありました。
例えば、ギリシャ・トルコ・地中海沿岸地域に伝わるギリシア神話には、美しい歌声で船乗りを惑わす精霊セイレーンに怒った海の神ネプチューンが、セイレーンをアクアマリンの石の姿に変えたという言い伝えが残っています。
さらに、古代ヨーロッパのドイツ・イギリス・フランスの船乗りたちは、アクアマリンは波を落ち着かせ、航海の安全を守る効果があると信じ、海の力が宿ったお守りとして身に着けていました。
このことから、アクアマリンには「沈着」「勇敢」「聡明」といった石言葉がついたと言われています。
他にもアクアマリンは「船乗りに恋をした人魚の涙」など、その見た目と名前の通り、海にまつわる逸話が多く言い伝えられきた天然石でもあります。
また、中世ヨーロッパのドイツ・イギリス・フランス・イタリアでは、アクアマリンが月光下や夜会の照明でキラキラ輝くことから、貴婦人たちが好み、「夜の宝石の女王」と呼ばれる存在でした。
その美しさから、古代エジプトの王族やイタリアのローマ貴族にも重宝されるとともに、かの有名なフランス王妃マリー・アントワネットもダイヤモンドと同じくらい、アクアマリンを愛用していたといいます。
アクアマリンの種類は他にも、サンタマリアアクアマリン、ミルキーアクアマリン、アクアマリンキャッツアイ、モスアクアマリンがあり、古代ギリシアや古代ローマでは、超越能力を授かることができると信じられていたことから、権力や知恵を象徴する彫像の目にも使用されてきたそうです。
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願いを込めた天然石アクセサリー
このように天然石はただ美しいだけではなく、そこには古くからの逸話やエピソードが詰まっています。
そして、その見た目や石にまつわるエピソードを得た人たちは、身に着けるブレスレットやネックレスなどのアクセサリーとしてお守りにしてきました。
今回ご紹介した他にも逸話やエピソードがある天然石はたくさんあります。
数ある種類の中から好きなものを選ぶことができるのも、天然石ならではの魅力です。
他の天然石のエピソードは、4976堂の「パワーストーン・天然石の意味辞典」でもご紹介していますので、ぜひそちらもご覧ください。
古くから愛された歴史を持つ天然石ですが、現在では産地が限られたり、既に原石が採れなくなってきている希少な石もでてきて、今後更に価値は高くなると予想されています。
あなたが持っているアクセサリーの中にも、ぜひブレスレットやネックレスなど、あなただけの願いを込めた天然石アクセサリーを追加してみてください。